今回の労働安全衛生法改正案は、企業が雇用者のメンタルヘルスを向上させる義務を担わされているのがポイントです。常時50名以上の雇用者を抱えている事業所は、年に一回はストレスチェックを行うことが義務付けられています。このストレスチェックで何らかの異常がみられる雇用者に対しては、医師による面接指導を実施し、医師の意見を参考にしながらストレスの原因となっている職場環境の改善に取り組まなければいけません。
また企業はストレスチェックの実施時期、対象人数、実際にテストを受けた人数、そのなかで医師の面接指導を受けた人数などの情報を、労働基準監督署に報告することも義務付けられています。この報告義務を違反した場合には罰則も設けられており、もし違反すれば50万円以下の罰金に処せられます。
さらに企業には、ストレスチェックの集団分析とその結果を踏まえた職場環境の改善を実施することが望ましいという規定も、努力義務として今回の改正案に含まれています。個人の結果がわからないように集計されたデータから、課や部など職場における一定規模の集団ごとにストレスの分布状況を分析し、それを職場環境の改善につなげることが期待されています。